東京ヴァルハラ異聞録
どれだけやっても、勝てそうな気がしない。


だけど……ここで諦めるわけにはいかないよな。


まだ動く手で、ポケットからPBTを取り出して、画面を操作しようとした時だった。


「……何だ!昴少年の身体が……光り始めた!?」


「これは……何だってんだよ……」


恵梨香さんも沙羅も何を言ってるんだろう。


でも、何だか安心出来る感じがする。







「お前さ、あと少しだろうが。こんな所で寝転がってないで、さっさと起きて戦えよ。これでやられたら、ぶち殺すからな!」


俺を見下ろして、手を差し伸べてくれてるのは……篠田さん?


「そうだよ昴くん。私達はいつも一緒にいるんだから。ほら、もう少しだよ。戦おう」


梨奈さんまで。


いや、二人だけじゃない。


愛美に嵐丸さん、籾井さんに美姫まで。


「昴くん。私、やったよ。今度会ったら褒めてくれるかな……」


「皆……でも、俺は高山真治に勝てない……今の俺の力では」


「大丈夫だよ。ほら、見て?外にいる皆がフェンリルを倒してくれた。まだ昴くんの武器は進化するから」


美姫に導かれて操作したPBT。


そこには、「魂の宝玉」と武器の進化の項目が追加されていたのだ。
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