東京ヴァルハラ異聞録
~三日後~


高山真治と恵梨香さん。


二人に会ってから、ヴァルハラの事を思い出した。


拓真と麻衣は思い出さないようだけど、それはそれで良い。


問題は俺の方だ。


土曜日になるのを待って、恵梨香さんに渡されたメモの場所へ。


沙羅がいる場所へと向かった。


どうやって調べたんだろう……なんてどうでもよくて、沙羅に会えると考えただけで俺の心は高鳴っていた。


でも、俺は思い出したけど、沙羅はどうだろう。


思い出してなかったら、俺が行ったところで「おかしなやつが来た」と思われかねないぞ。


沙羅には会いたい……でも怖い。


そんな事を考えながら、恵梨香さんにもらった住所をスマホで調べながら、その家までやって来た。


住宅街の中にある大きな家。


うちとは違う、裕福な家庭というのがその家の佇まいからわかる。


「ここに沙羅が……」


そう呟いた時だった。


「行ってきます」


か細い声が聞こえ、ドアが開いた。


そこから出て来たのは、間違いなく沙羅で……俺はその姿を見て、ただ立ち尽くすだけ。


そんな俺に、沙羅が気付いたようだ。


「どうしたの?うちに何か用ですか?」
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