東京ヴァルハラ異聞録
「くそっ!相変わらずタフだな、有沢!!おい!そこの三人!戦えるならこいつを止めろ!無理なら今すぐ逃げろ!」


後から現れた男が、俺達にそう声を掛けたけど……戦うって、ハンマーを持ってるやつとどうやって!?


選択肢なんて逃げるしかないじゃないか!


「そ、その槍をよこせよ!武器もねぇのに戦えるかよ!!」


山瀬はそうでもなさそうだけど。


有沢と呼ばれた男は、首に手を当てて軽く曲げると、俺達が怯えていると判断したのか、男に向けてハンマーを振った。


「くっ!自分の武器があるだろ!それともまさか……来たばかりか!?」


そのハンマーを後方に飛んで回避し、棒と思われた武器、槍を構えて有沢に突き付けた。


しかしそれは、ハンマーの柄で捌かれる。


「相変わらず攻撃が軽いな、黒部悟(クロベ サトル)。この様子じゃあ、西軍が落ちるのも時間の問題じゃないか?」


一体……何が起こっているのか。


この二人が持っているのは間違いなく武器で、それを容赦なく振ってお互いを殺そうとしている?


気付けば、車に衝突した人は消えていて、ますますわけがわからない。


「ふざけんなよ!おい!お前ら!来たばかりなら『PBT』から武器を取り出せ!!そのスマホの画面に、『ガチャ』ってあるだろ!」

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