東京ヴァルハラ異聞録
「……言っただろ。真由の居場所を探るやつは容赦しねえ!誰であろうとだ!!」


篠田さんの顔が、怒りに満ちた表情へと変わる。


そして……。


素早く距離を詰めると、俺の右脇腹を抉るような、左のボディブローが放たれていたのだ。


「!?」


いつでも武器を取り出せる心構えはあった。


だけど、それを超えるほどの速度に、日本刀を抜く事が精一杯。


ギリギリのところで篠田さんの拳を、日本刀で受け止めたけれど……その攻撃のあまりの重さに、身体が浮き上がったのだ。


勢いよく窓に叩き付けられ、割れたガラスと共に俺は……。


ビルの三階から、地面に向かって落下したのだ。


まずい……まずい!!


こんな高さから落とされたら、無事で済むはずがない!


「ど、どうすればいいんだよ!?」


考えろ、秋本はビルの屋上から飛び降りて無傷だったじゃないか。


あんな強いやつと一緒にして考えるのはどうかと思うけど……着地するしかない!


空中で何とか体勢を整え、着地に備えて足に意識を集中させる。


どれだけの衝撃があるかわからない。


足の一本や二本折れるくらいの覚悟で……地面に足が触れた。
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