東京ヴァルハラ異聞録
ズルリと有沢の胸から上がズレて、地面にドサリと崩れ落ちたのだ。


「はぁ……はぁ……星4レアの武器を一発目に引いたのか……そのおかげで助かったぁ」


有沢の身体が、光の粒へと変化し、空中に四散する。


その向こう側で、悟が地面に座り込んでそう呟いた。


だけど、俺はたまったもんじゃなかった。


「え、え!?な、なんで……もしかして、俺が?俺が……人を殺したんですか!?」


有沢の返り血が、いつの間にか消えている。


それでも、確かに手には人を斬ったような感覚があったし……。


「そうだよ。お前がいなかったら、俺も殺られてた。気にすることはないよ。どうせ南軍のどこかで復活するから」


さっきも言っていたけど、西軍とか南軍とか……復活するとかどういう事だよ。


もう、何が何だか全然わからない。


「大丈夫じゃないですよ!何なんですかこれは!!ここ、東京ですよね!?人殺しなんて、警察に逮捕されて……ああっ!」


不安、恐怖……押し潰されそうになる強いストレスに、俺は耐えられなくなって頭を抱えた。


「……ここに来たばかりだと何もわからないよな。ここは東京……の形をした、まるで別の世界だよ。俺達はヴァルハラって呼んでる」
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