東京ヴァルハラ異聞録
吐血する千桜さん。


籾井も両肩をダラリと垂らして。


しばらくして、千桜さんが光の粒へと変化すると同時に、二人を包んでいた光が消失したのだ。


「千桜さん……くっ!格好つけて!!」


彼の想いを無駄にしてはいけない。


そう感じた俺は、左足を軸に後方に飛び、籾井に斬り掛かった。


光で目が眩んだのか、眩しそうに目を細める籾井は、俺に気付いていない。


そして、俺に気付いて忍者刀を振り上げようとしたけど……腕が上がらない様子で。


「うおおおおっ!!」


気合いと共に振り下ろした日本刀が、籾井の左肩に食い込んで。


そのまま右脇腹までを斬り裂いて、地面に崩れ落ちた。


籾井の身体が光の粒へと変わる。


という事は、籾井は西軍へと帰るはずだ。


後は……悟さんと延吉!!


「も、籾井まで!!ちくしょう!こうなったら……一人だけでもぶっ殺してやるわ!!」


そう言い、梨奈さんに刃を向けた延吉。


構える梨奈さんに、突きを放つ!


「舐めるんじゃないよ!!」


そう吠えたのは梨奈さん。


風火輪を二つ重ねた中に、延吉の仕込み杖の刃を通した瞬間。


風火輪を力任せに左右に引き、刃を粉砕したのだ。
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