東京ヴァルハラ異聞録
慌てて男が矢を射ろうとするけど、動きが遅い!


着地と同時に飛び掛かり、矢を射る前に斬り付け、男は倒れた。


「次っ!」


浅草通りを挟むように配置している北軍に接近する。


飛び交う矢を日本刀と鞘で払いつつ、攻撃をしてくるやつを斬り捨てる。


このまま進めば、また先に敵が現れ、倒しても倒しても攻撃され続けるんじゃないのか?


そう考えながらも戦い続け、三人目を仕留めた時、やはり先に人が現れている事に気付いた。


「梨奈さん!一旦退きましょう!これじゃあキリがない!」


倒せば倒すほど強くなる……はずだけど、今の俺は先に進む事が目的ではない。


拓真と舞桜達の行方が気になっているのだから、情報を得ようとしているのだ。


ビルの上にいるやつらから聞くのは簡単な事じゃない。


話を聞こうとしても、隣のビルから矢が射られるのだから落ち着いて話なんて聞いていられない。


「わかったわ!そっちに行くから!」


梨奈さんが引き返し、俺の方へと飛ぶ。


高いビルから低いビルへと飛び移り、狙われないように身を潜める。


「さて、どうしましょうかね。上にいると狙われやすい。完全に陽が沈めば、見付けられにくくなるかもしれませんけど」
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