東京ヴァルハラ異聞録
秋本と同じビルに着地した俺は、睨み付けて日本刀を構えた。


「なんなんだよお前。こいつは北軍の人間だろ?どうして西軍の人間が北軍の事情に口出しするんだ?言ってみろよ」


ごく自然に、まるで呼吸でもするかのように殺意を俺に向ける秋本。


その威圧感は……篠田さんと対峙した時に似ている。


その瞬間、俺ではまだまだ勝てないと本能で理解したけど、退く事は出来なかった。


「沙羅は……俺の友達だ!今すぐ放せよ!」


「何、俺が何かしたとでも言いたいの?文句があるならお前らの隊長に言えば?黒崎は久滋にやられて気絶したから、俺が運んでるだけなんだけど」


よく見れば、沙羅の左脚の膝から下が切断されている。


まだ血が滴っている所から、傷を負ってからそれほど時間は経っていない。


「嘘だ!久慈さんは今回は防衛部隊に回っている!沙羅をそこまでやれるやつなんてそうはいないはずだ!だから……お前がやった!!」


何が目的かはわからないけど、俺の考えは間違っていないはず。


「なんだよ……久滋はいないのかよ。じゃあ何か?黒崎がちょろちょろと屋上の部隊を殺しまくってたのは、お友達のお前の為だってのか。だったらお前も同罪だよな?」
< 270 / 1,037 >

この作品をシェア

pagetop