東京ヴァルハラ異聞録
俺達は悟さんに付いて、再び万世橋を渡って歩いた。


悟さんも初めて死んだ時に、俺達が目覚めたホテルで生き返ったから、あの場所で待っていれば俺達が来ると思ったようだ。


少し歩いてうどん屋に入り、朝食を摂る。


店員がいないのに、自動販売機で注文すると料理が現れるのは……不思議だった。


「今みたいにさ、食事をするには金が必要だよね?金はこのPBT(Personal Battle Terminal)に追加されるんだ。人を一人殺せば、ソウルと金が手に入るんだ」


悟さんがPBTを取り出して、うどんを食べながら説明をしてくれる。


「人を殺さないとお金が手に入らないって事?そんなの、私が出来るとは思えない」


成り行きで一人殺したとは言え、俺だってそうだ。


あれは色んな偶然が重なっただけで、俺の力じゃない。


「食べながら言うのもなんだけど、殺さなきゃ金は手に入らない。金がなきゃ、空腹で動けなくなる。そうはなりたくないだろ?」


この街では、何でもかんでも人を殺せ……か。


自分が生きる為に人を殺さなきゃならないなんて、とんでもない場所に来てしまったもんだと、箸を置いて頭を抱えた。
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