東京ヴァルハラ異聞録
朝食を済ませ、店を出た俺達は神田の方に向かって歩く。


「この街では、一日に何回か『総力戦』と呼ばれる戦闘があるんだ。それ以外の時間は、光の壁に阻まれてて他軍に行く事は出来ないんだよ」


俺達が人形町に現れた時が、その総力戦の真っ最中だったわけだ。


「各軍は時計回りに侵攻出来るんだ。南軍なら西軍へ、西軍なら北軍へと言ったようにね。でも、逆は出来ない。だから俺達は南軍との境界線を守っていれば、キングを破壊される可能性は低くなる」


歩きながら説明してくれているけど、キングを破壊した人は元の世界に戻れる。


でもそれだけなら、守る必要なんてあるのかと思い、尋ねてみる。


「破壊されると……何かデメリットでもあるんですか?何もないなら守る必要なんて……」


「あるんだよなー、それが。良いかい?キングが破壊されれば、破壊された軍の人間は、ソウルと金、そして武器レベルが大きく減少するんだ。そうなったら、今まで勝てていた相手にだって勝てなくなる可能性がある。わかるよね?」


一応……理解はしたつもりだ。


何をするにしてもこの街では人を殺さなければならない。


そういう事だよな……。
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