東京ヴァルハラ異聞録
神田駅の辺りまで来た時、PBTからアラーム音のような物が聞こえた。


確認してみると、何やらカウントダウンが始まっているみたいで、爆発でもするのかと少し焦る。


「あと30分後に総力戦か。困ったな。あいつらと合流も出来てないのに」


頭をボリボリと掻いて、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた悟。


「総力戦という事は、殺し合いが始まるの?どうしよう……」


そう思うのは美佳さんだけじゃない。


俺だって不安を感じるよ。


「うーん、どうしようったって、戦うしかないよね。美佳さんはどんな武器を手に入れたの?ちょっと出してみてよ」


悟さんがそう言ったが、美佳さんはどうすれば良いかわからない様子で。


そう言えば、俺の日本刀もどこに行ったのか。


そんな俺達を見て、悟さんが口を開く。


「ああ、わかんないよね。まずは武器をイメージするんだ。そして、それを引き抜くような感じでやってみて」


なんだか疑わしいけど、この世界ではおかしな事とは思えない。


悟さんに言われた通りにやってみると……いつの間にか俺の手には、鞘に納まった日本刀が握られていていたのだ。


美佳さんの手には弓。


それを見た悟さんは、少し驚いているようだった。
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