東京ヴァルハラ異聞録
「あ、あの……一年前に秋葉原駅のトイレで、俺に助けを求めませんでしたか?似てるけど……違うのかな?ここにホクロがある……」


鼻を指差してみせたけど、突然何を言っているのかと思われたに違いない。


よくよく考えれば、鏡に映った女性は……秋葉原のレストランで見た、ガラスに映った男達と同じじゃないのか?


あれがこの街での戦闘だとすると、全てが繋がってしまう。


「いや、俺達がここに来たのは2週間前だから、きっと別の人じゃないかな?でも、キミは一年前からここにいるとは思えないけど」


俺の武器と姿を見て、不思議そうに首を傾げる直樹さん。


だけど女性は、驚いたように俺の肩を掴んで。


「あなた……妹を知ってるの?私の妹もここにいるの!?」


驚いた表情で、俺の身体を揺すったのだ。


「わ、わかりません。俺も探してはいたんですけど……」


一年前に一度見ただけで、それ以降目にした事はないのだから。


「そ、そう。直樹、この二人はまだ慣れてないみたいだから、一緒に戦いましょう。文句はないわね?」


「いや、まあ構わないけどさ。俺達だって新人を気にしてられるほど強くないだろ?」


俺と美佳さんを置いて、話は勝手に進む。
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