東京ヴァルハラ異聞録


「な、なんで!!避けたはずなのに!くそっ!距離感を読み誤ったか!」


腕を切り落とされのに、悲鳴一つ上げない。


顔を歪めてはいるけれど、何とか耐えていると言った感じか。


いや、敵の事はどうだって良い。


それよりも俺は、また人を斬ったという罪悪感に襲われて、身体が震える。


「このガキ……ぶっ殺してや……」


男が怒りで顔を歪め、ヌンチャクを振り上げようとした時。


さらにその背後から飛び出した梨奈さんが男の頭部に一撃。


片刃の手斧が男の頭部を割り、ゆっくりと前のめりに倒れたのだ。


地面に倒れると同時に光の粒に変化して飛び散る。


「二人ともすぐに出て!敵に気付かれたから、囲まれる前に移動するよ!」


梨奈さんにそう言われ、美佳さんと顔を見合わせて慌てて道路に出る。


すると、左の方から南軍の人間が、こちらに向かって走って来ていたのだ。


「き、来てるよどうするの!?」


「言ってないで逃げるのよ!経験もないのに正面から戦うなんて危険でしょ!」


直樹さんは……まさかさっきの攻撃で死んだのか!?


倒れた場所にいないし、辺りにそれらしい姿も見えない!
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