東京ヴァルハラ異聞録
「くたばれクソガキが!!」


三宅の拳が眩しく光る。


次の瞬間、光の帯が俺の腹部を貫いたのだ。


「ハーッハッハッハ!威勢だけだったな!これが最強の力……」


確かに篠田さんの技の模倣にしては良く出来ていた。


でも、当たらなければ意味がないし、モーションが大きすぎる。


すでに俺は、三宅の隣に移動して、日本刀を抜く体勢に入っていた。


「どうしてここに」というような表情で、俺に気付いて視線を向ける三宅。


秋本が使っていた殺気の分身。


屋上の上にいた俺の殺気に気付くくらいだ、引っ掛かってくれると思ってたよ!


日本刀を抜く。


光の筋が空間を斬り裂くように現れて。


だが、そこはさすがに最強を自負するだけあって反応は早かった。


振り抜いた日本刀が切断したのは三宅の右腕。


クルクルと弧を描きながら宙を舞い、ドサリと地面に落ちた。


「ぐわああああああっ!!腕が……腕があああっ!クソガキが!絶対に許さねぇ!!」


「許さねぇのはこっちの方だよ。散々いたぶってくれて!絶望に包まれて死ね!!」


叫んだ三宅に素早く近付き、渾身のボディブローを放った川本。


三宅に対する怒りが込められた、見事な一撃だった。
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