東京ヴァルハラ異聞録
「それは……キミが、戦いたくて戦っていないと思ったから。皆は戦えって言うけど、どうも自分から戦おうと思えなくて。俺と同じかなって思ったんだ」
俺がそう言うと、死神は驚いたような表情を浮かべて。
「そう……私達、似てるのかもね。私、黒崎沙羅(クロサキ サラ)。友達を探してるんだけど、まだ見付けられないんだ。前に一度、西軍の中に見かけたんだど」
「お、俺は結城昴。この世界に何人いるかわからないけど、その中から一人見付けるって難しいんじゃないの?」
不思議だった。
総力戦の真っ最中で、敵として出会ったはずなのに、なぜか心が落ち着いていたから。
「フフッ。沙羅で良いよ。そうだ、昴くんは西軍の人じゃない?だったら、私の友達の事がわかったら、教えてくれないかな?しばらくは西軍にいるつもりだし、次に会った時でいいから」
ポンッと手を叩いて、無邪気な笑顔を見せる沙羅。
「あ、ああ……うん、わかった。それで、その友達の名前は……」
「楠本真由(クスモト マユ)。じゃあ、私は行くね。北軍の人間と一緒にいたら、昴くんに迷惑を掛けちゃうから」
そう言い、沙羅はフードを被り、俺に近付くと、額を人差し指で軽く突いて小さく呟いた。
「戦いたくなくても、強くなきゃ命だって奪われるからね。強くなってね」
ニコッと微笑むと、身をひるがえして去って行った。
この出会いが、後に大きな流れを生むことになるとは、この時はまだ思っていなかった。
俺がそう言うと、死神は驚いたような表情を浮かべて。
「そう……私達、似てるのかもね。私、黒崎沙羅(クロサキ サラ)。友達を探してるんだけど、まだ見付けられないんだ。前に一度、西軍の中に見かけたんだど」
「お、俺は結城昴。この世界に何人いるかわからないけど、その中から一人見付けるって難しいんじゃないの?」
不思議だった。
総力戦の真っ最中で、敵として出会ったはずなのに、なぜか心が落ち着いていたから。
「フフッ。沙羅で良いよ。そうだ、昴くんは西軍の人じゃない?だったら、私の友達の事がわかったら、教えてくれないかな?しばらくは西軍にいるつもりだし、次に会った時でいいから」
ポンッと手を叩いて、無邪気な笑顔を見せる沙羅。
「あ、ああ……うん、わかった。それで、その友達の名前は……」
「楠本真由(クスモト マユ)。じゃあ、私は行くね。北軍の人間と一緒にいたら、昴くんに迷惑を掛けちゃうから」
そう言い、沙羅はフードを被り、俺に近付くと、額を人差し指で軽く突いて小さく呟いた。
「戦いたくなくても、強くなきゃ命だって奪われるからね。強くなってね」
ニコッと微笑むと、身をひるがえして去って行った。
この出会いが、後に大きな流れを生むことになるとは、この時はまだ思っていなかった。