東京ヴァルハラ異聞録
「万が一そうなったら、俺が久慈と戦います。俺が決着を付けなければならない人ですから」


そう言うと、皆しばらく黙って。


やはりこの男、千桜さんが最初に口を開いた。


「……わたるくん、自惚れないでください。キミが、久慈さんとどこまで戦えると思っているんですか。それにこれは西軍の問題です。自身の納得の為の利用しないでください」


「まあまあ、千桜さん。ここまで言ってるなら、久慈さんにぶつかってみるのも一つの手段だと思うよ?ここで喧嘩をしてても先に進まないんだからさ」


怒ったような口調の千桜さんを、悟さんなだめる。


「私は何だって良いけどさ。悟と結城と一緒にポーン狩りに行ったおかげで、私まで仲間だと思われて良い迷惑だよ。今更どこにも行けないしさ」


それに関して言えば、ここにいる全員がそうか。


千桜さんと籾井さんはどこにも所属していないと言っていたのに、いつの間にか俺達と一緒にされて。


美姫も今更橋本さんに預かってもらうなんて無理だろうし。


「……わかりましたよ。その代わり、僕は飽くまで無所属ですからね。どの勢力にも属するつもりはありません。久慈さんに会うまでは、同行はしますが」


渋々と言った様子だけど、千桜さんは納得してくれたようだ。
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