東京ヴァルハラ異聞録
「やっと来たか、坊主」


俺の姿を見るなり立ち上がったのは……御田さん。


やっと……って、もしかしてあれからずっとここで待っていてくれたのか?


「お、御田さん……お久しぶりです。俺を、待っていてくれたんですか?」


「ああ、待っとったぞ。坊主なら、武器を進化させて戻って来ると思っとったわ。悟とまーさんまで一緒とは思わなかったが」


あの豪快な笑い声で、俺達を出迎えてくれているようだ。


御田さんがいてくれれば、久慈とまともに話をする事も可能かもしれない。


「それにしても、まさか坊主がゼロ・クルセイダーズを潰すとはなあ。噂はここにまで届いたぞ」


嬉しそうに俺の肩を叩き、また大笑い。


「これは……もしかすると、英太さんが話をすれば月影も橋本さんもいがみ合うのを止めてくれるかもしれないぞ?英太さんと言えば、タケさんに並ぶ実力者だ。そんな人に『仲良くしろ』って言われたら……」


そんな御田を見て、悟さんが不敵な笑みを浮かべて呟いた。


確かに、現状ではそれが一番確実かもしれない。


だけど……。





「それは無理な相談だな。ここに来たという事は、お前達が用があるのは久慈じゃろう?ワシに力を見せなければ、ワシが動くどころか、久慈にも合わせてやらんぞ。さあ、どれほど強くなったか見せてみろ!」





そう言って御田さんは、巨大な斧を取り出して身構えたのだ。
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