東京ヴァルハラ異聞録
「なかなか鋭い攻撃じゃが……そんな風にいかにも『攻撃します』って雰囲気だと防ぐのも容易いわ!考えて動いていたのでは、ワシは捉えられんぞ?」


デタラメな強さだな。


御田さんなら一人で、ゼロ・クルセイダーズどころか西軍を統一する事だって可能だろうに。


「考えて動いているって……前にも言われました。じゃあ、ここからは考えません」


「考えなかったら勝てるというものでもないがな」


今度は日本刀と鞘を片手ずつに持ち、再び御田さんに駆け寄る。


そして、御田さんもまた、石突きで俺を迎え撃つ。


その攻撃を鞘で防ごうと左腕を振り上げたが、石突きは途中で動きを止めた。


左足を引き、斧を反転させて斧刃を俺に叩き付けたのだ。


振り上げた鞘で受け止めるが、そのあまりの衝撃に、膝が折れて床につく。


このままでは……叩き潰されてしまう!


身体を捻り、何とか鞘を斜めにして斧を左に受け流した。


が、床に付くと同時に、反対側の斧刃が俺の左腕を襲ったのだ。


鞘を潜るようにして振り上げられて……左腕が宙を舞う。


「ぐうっっっっ!!」


左腕を飛ばされたのはこれで何度目だよ!!


苦痛に顔を歪めるけど……目の前には斧を振り上げたばかりの御田さん。


この隙を逃してたまるかと、右手の日本刀を横に滑らせた。
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