東京ヴァルハラ異聞録
俺がそう言うと、悟さんと愛美は驚いたような表情を浮かべて顔を見合わせた。
「……ま、まあ、昴が他軍を回れば強くはなるだろうけど。今の状況だと、昴の力も借りたいってのが本当の所なんだよなあ」
「別にいいんじゃない?月影に新たな脅威とか言われてるんだから、こいつがいない方が話が纏まるかもしれないし。内部のゴタゴタに巻き込まれても、強くなんてなれないんだからさ」
悩む悟さんに対し、愛美は寛容……と言うか、厄介払いしたい感じか。
それでも、以前よりは言葉が柔らかくなったように思える。
「いい心構えだな、昴少年。では私が鍛えてやろう。ひと月も戦い続ければ、恐らくバベルの塔に挑めるくらいには……」
「いえ、俺は恵梨香さんの力は借りません。沙羅と……二人で行きます」
恵梨香さんの言葉を遮り、俺は強くそう言った。
それに驚いたのは、恵梨香さんだけではなく沙羅も。
「……少年。私の協力を断り、この若い死神と一緒に行くと言うのか?」
その声に、微かに怒りが混じっているように感じた。
だけど、これはもう決めた事だ。
「俺は……結城昴です。高山真治の力に頼らなくても強くなりたいんです。俺は……高山真治の代わりじゃありません」
「……ま、まあ、昴が他軍を回れば強くはなるだろうけど。今の状況だと、昴の力も借りたいってのが本当の所なんだよなあ」
「別にいいんじゃない?月影に新たな脅威とか言われてるんだから、こいつがいない方が話が纏まるかもしれないし。内部のゴタゴタに巻き込まれても、強くなんてなれないんだからさ」
悩む悟さんに対し、愛美は寛容……と言うか、厄介払いしたい感じか。
それでも、以前よりは言葉が柔らかくなったように思える。
「いい心構えだな、昴少年。では私が鍛えてやろう。ひと月も戦い続ければ、恐らくバベルの塔に挑めるくらいには……」
「いえ、俺は恵梨香さんの力は借りません。沙羅と……二人で行きます」
恵梨香さんの言葉を遮り、俺は強くそう言った。
それに驚いたのは、恵梨香さんだけではなく沙羅も。
「……少年。私の協力を断り、この若い死神と一緒に行くと言うのか?」
その声に、微かに怒りが混じっているように感じた。
だけど、これはもう決めた事だ。
「俺は……結城昴です。高山真治の力に頼らなくても強くなりたいんです。俺は……高山真治の代わりじゃありません」