東京ヴァルハラ異聞録
南軍の三人組がいなくなり、西軍の人達も何事もなかったかのように街へと散って行った。


俺達は真由さんがどこにいるかを教えてもらおうと、篠田さんがいる所に移動した。


「さあ、昴くんは勝ったわよ!真由の居場所を教えなさいよ!約束したでしょ!」


「ああ、居場所を教える事を考えるって約束だったな。考えてみた。非常に悩んだ。でもダメだ。やっぱり教えるわけにはいかねぇ」


そう言い、ポンポンと梨奈さんの肩を叩くと、背中を向けて手を振り、立ち去ろうとしたのだ。


「なっ!何なのよ!嘘つき!」


さっきみたいに実力行使をしようとはしない。


そりゃあ、あんな強さを見せ付けられたら、戦っても勝てるわけがないと思ったのだろう。


「嘘はついてねえよ。そんなに教えてほしけりゃ、もっと強くなれよ。俺が頼りにするくらいな」


結局……何も教えてもらえなかった。


俺の実力じゃない、ただの運で勝てた決闘。


もっと強くて、光輝を圧倒していたらこの結末も変わっていたのかもしれない。


そう考えると……強くなければ何も得られないんだなと痛感した。


「あー、そうだ悟。次の総力戦、防衛は他のやつに任せて北軍に侵攻してこいよ。その口うるせー女達を連れてよ」


そう言うと、篠田は手を振って去って行った。
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