東京ヴァルハラ異聞録
「そこで、提案なんだけどさ。弓を持ってる美佳さんは、俺達とは別行動にした方が良いかなって思うんだ。西軍の侵攻部隊がいるから、そっちと一緒に行った方が良いかなって」


「えぇ……私だけ仲間外れ?でも、死なないならそっちの方が良いのかな?昴くんと黒部さんだと、かなり無茶しそうだもんね」


その言葉を全く否定しようとしない悟さん。


沈黙が怖い……。


「侵攻で大事なのは、負傷したらすぐに西軍に戻る事。生きていれば、西軍に戻れば傷の回復は早いからね」


「大体わかったわ。私は昴くんと悟さんの足を引っ張らないように頑張るわね。どう考えたって、私が一番弱いってわかるから」


そうなのか?


昨日の夜は、間違いなく梨奈さんの方が強かったのに、いつの間に俺の方が強くなったんだ?


「そうだね。昴は、光輝との決闘に勝った事でかなりのレベルアップを果たしたはずだ。まあ、一番最初に有沢も倒してるし強くなってるのは当たり前か」


そんなものなのかな?


俺自身は強くなっているという実感がないけど。


悟さんに言われると、そうだと信じる事にしよう。


初めての侵攻。


それは、俺にとってあってほしくない再会を果たす事になる。
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