東京ヴァルハラ異聞録
俺達は、この通りを抜けて戦う。


悟さんにそう言われて、待機をしている間にPBTを操作して、賞金ランキングを見てみる。




賞金ランキング

1.黒崎沙羅 427,654G
2.朝倉ほのか 394,841G
3.篠田武久 384,411G
4.秋本雄聖 379,987G
5.伊良王毅 377,524G
6.北条恵梨香 351,632G
7.黒井風助 321,477G
8.名鳥順一 304,112G
9.横手龍拳 281,415G
10.久慈明友 280,163G





パッと開いたその画面に、俺は驚いて食い入るように見詰めた。


「沙羅……1位だって?」


知っている名前は三人。


篠田さんと久慈さんが入っているのはわかっていたけど、まさか沙羅が1位だったなんて思いもよらなかった。


「見ての通り、西軍では二人しかトップ10入りしてないんだよ。割合としてはそんなもんなんだろうけどさ。どうせなら俺も、ランクインしたいよな」


こういうのを見ると、少しワクワクしてしまう気持ちはわからなくもない。


悟さんも俺も、そういう点では似ているのかもしれないけど。


俺は、沙羅の名前を見て、何とも言えない気持ちになってしまった。


あんなに可愛い、優しい女の子が、ランキングのトップだなんて。


よその軍を回ってると言ったから、きっとその間にも敵と戦っていたんだろうな。


沙羅は……一体どんな気持ちで、この街で戦っているんだろう。


友達に会いたいという思いだけで、戦えるものなのかな。


周りに流されて、これと言った目的もない俺にはわからない。
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