東京ヴァルハラ異聞録
そして、その時は訪れた。


この通りから侵攻する人達は、気付けば数百人集まっていて、その人達のPBTが一斉に鳴り始めたのだ。


「うおおおおおおおっ!!行くぞ!!」


「ぶっ殺せ!北軍のやつらを!」


アラーム音と、人の怒号が混ざり合う異様な騒音。


「昴!梨奈さん!一気に走り抜ける!上野駅の前に到着したら、浅草方面に向かって走るぞ!しばらく走れば公園がある!そこに集合するぞ!」


かなりアバウトな説明だけど、大体わかった。


梨奈さんをチラリを見ると、緊張した面持ちで光の壁に向かって走っている。


人の心配をしている暇はないかな。


次々と西軍の人間が光の壁へと突撃する。


その人の流れに乗って、俺も光の壁を越えたその瞬間。


空にはこちら目掛けて降り注ぐ矢の雨。


地上には、侵攻して来た西軍を迎え撃つ北軍の姿。


早くも先頭の集団は北軍と接触し、戦闘を開始していた。


「くそっ!これを避けろって!?」


冗談がきつい……と、昨日の俺なら言っていただろうけど、山なりに飛んでくる矢の軌道を見切るのは、それほど難しくはなかった。


矢を避けながら、日本刀で弾きながら前進して上野駅を目指す。
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