東京ヴァルハラ異聞録
「死ねっ!」


そんな俺に、北軍の人間が襲い掛かる!


人の間を縫い、最前線に出てしまった俺を見るなり、躊躇なく武器を振り下ろす。


「死ぬかよ!」


すかさず振り下ろされた斧を、日本刀で受け流し、男の胴に刃を滑らせる。


上半身と下半身が分断された男は地面に崩れ落ち、後続に踏まれて光の粒に変わった。


北軍、西軍、どちらとは言わず、死んだ人達が光の粒に変化する為、最前線は明るい光に包まれている。


それでも、北軍の人達の攻撃は止まらない。


一人死んでも次の人、さらに次の人と、襲い掛かって来る。


「キリがないじゃないか!こんなの!」


殺意を持って俺に攻撃してくる人間には、俺も自分の身を守る為に反撃をした。


光輝と比べると、こいつらは動きが遅くて弱い。


ただ生き残る為に、必死になって戦い続けて……ようやく、北軍の壁を突破する事が出来たのだ。


南軍の勢いは止まらない。


俺がひと息ついている間にも、マラソンでもしているかのように上野駅の前を走って北軍に散らばったのだ。


「俺も行かなきゃ。上野駅の前を……曲がるんだったかな?」


浅草方面に向かえばいいんだろ?


その途中にある公園に行けば良いんだよな。
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