東京ヴァルハラ異聞録
早速、悟さんと梨奈さんとはぐれてしまった。


これを見越して集合場所を決めたんだろうな。


銀行がある通りに入り、そこを真っ直ぐ走る。


人が死ぬと光の粒に変わる。


そのおかげで、戦闘があったとは思えないくらい綺麗な道だ。


人を殺せば武器レベルが上がる。


そうなれば俺自身も強くなる。


実感としてわかる気がする。


最初の接触で、矢を回避出来たし敵の動きも見えた。


引いた武器のレアリティに助けられてる……とでも言うべきかな。


周囲を警戒しながら走って、交差点に差し掛かり、敵が潜んでいないかと左右を確認した時だった。


足元が、淡く緑色に染まり、俺は咄嗟にそこから飛び退いた。


瞬間、地面に突き刺さる槍。


そしてメガネの男。


「おいおい、今の不意打ちを避けるか普通」


どこから降ってきたのか……見上げると、そこには四階建てのビル。


まさか、この屋上から飛び降りたってのか!?


よくわからないけど……そんな事をしても怪我一つしていないなんて。


篠田さんにも似たような殺気を感じ、俺は日本刀を構えた。


「いいね、少年。そういう闘志、俺は好きだな」
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