東京ヴァルハラ異聞録
口元は笑っていて、余裕を感じる。


「やっぱりさ、強いやつと戦うってのはワクワクするよな。お前の武器、星4だろ?だったら、他の雑魚とは違うだろ」


男はそう言い、槍をクルクルと回した後構えると、切っ先を俺に向けた。


悟さんと同じく槍……。


だけど、斧のような刃が付いていて、悟さんの物とは形状が一致しない。


「あれは……ハルベルト?」


「正解」


俺がそう呟いた時、男は既に俺の眼前に迫っていて。


突き付けられたハルベルトを回避しようとしたけど、それより早く振り上げられて。


俺の左腕は、気付いた時には切断されて宙を舞っていたのだ。


「ああああああああっ!!」


痛みが、恐怖が、心を包み込むように襲い掛かって来る。


ヤバい……ヤバい!


全然動きが見えなかった!


それに、尋常じゃなく強い!!


「あれ?なんだよ、全然弱いじゃないかよ。これじゃあ楽しめないから、さっさと終わらせて強いやつと戦いにでも行くかな」


素早く構えたハルベルトが、俺の頭部に狙いを定めた。


ダメだ……こいつには勝てない!


このまま殺される!


そう覚悟を決めた時。
< 94 / 1,037 >

この作品をシェア

pagetop