東京ヴァルハラ異聞録
「フェンリルを抑えられないと、人が大勢死ぬ事になるんだぞ!それなのに、あんたは自分の利益だけを考えるというのか!?」


「人を集めたところで、お前がバベルの塔を攻略出来るともわからん。そんな危険な賭けに、見返りもなしにベットしろという方がおかしいだろう?」


確かに……久慈さんが言っている事は理解出来る。


見返りがどうとかではなく、危険な賭けだという事が。


それでも、やらなきゃならないのが今だろう!


「俺達が、この街で人間同士で殺し合いをさせられていたのは、きっとこの時の為なんだ!今、ここで力を発揮する為に!今じゃなきゃダメなんだよ!」


「では、なぜお前は俺に遠慮している!中途半端な戦力と覚悟で、その難局を乗り切れるのか!?お前のそういう所が気に食わない!!状況を説明すれば、皆が共に戦ってくれると思っているぬるい考えが!!」


久慈さんが拳を握り、俺の頬に打ち付ける。


ドゴッと音が聞こえ、目の前が揺れて後方に倒れた。


「くっ……やったな!こんな穴蔵に引きこもって、篠田さんから頼まれた事を守ってる気になってるやつが!だったらお前も戦えよっ!今は守りを考えてる時じゃないだろう!」
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