東京ヴァルハラ異聞録
倒れた久慈さんを見下ろし、荒くなった呼吸を整える。
「くっ……鼻が折れたか。まったく……俺の負けだな」
そう言い、ポケットからPBTを取り出して、瞬間回復を行った久慈さん。
立ち上がって、画面を操作すると、PBTに向かって話し始めたのだ。
「西軍の全ての者に告ぐ。俺達はこれより、バベルの塔に現れた化け物を討伐する。戦える者は両国へ向かえ。いよいよだ。長かった死の螺旋から解き放たれる時が来たんだ。かつての裏切り者、結城昴が先導する。俺達の戦いは……きっと、この時の為にあったんだ。戦う意思のある者だけでいい。だが、戦える者は両国へ向かえ」
そう言い終わった後、溜め息をついて。
「……あ、ありがとうございます、久慈さん」
「礼を言うのは後だ。お前の想いは受け取った。篠田さんの希望は、お前がしっかりと受け継いでいるとわかったからな」
そう言い、俺に手を差し出した久慈さん。
その手を握り、俺は頷いた。
「……全然わかりませんわね。久慈さんも最初から協力するつもりなら、どうして殴り合いなんてしたのかしら。時間と体力の無駄よ」
「それでいいんだよ、乃亜ちゃん。お互いに納得する為には、こういう事があったって」
「ふぅん。あなたは随分と結城昴の事を信じているようね。年下が好きなのかしら?」
「くっ……鼻が折れたか。まったく……俺の負けだな」
そう言い、ポケットからPBTを取り出して、瞬間回復を行った久慈さん。
立ち上がって、画面を操作すると、PBTに向かって話し始めたのだ。
「西軍の全ての者に告ぐ。俺達はこれより、バベルの塔に現れた化け物を討伐する。戦える者は両国へ向かえ。いよいよだ。長かった死の螺旋から解き放たれる時が来たんだ。かつての裏切り者、結城昴が先導する。俺達の戦いは……きっと、この時の為にあったんだ。戦う意思のある者だけでいい。だが、戦える者は両国へ向かえ」
そう言い終わった後、溜め息をついて。
「……あ、ありがとうございます、久慈さん」
「礼を言うのは後だ。お前の想いは受け取った。篠田さんの希望は、お前がしっかりと受け継いでいるとわかったからな」
そう言い、俺に手を差し出した久慈さん。
その手を握り、俺は頷いた。
「……全然わかりませんわね。久慈さんも最初から協力するつもりなら、どうして殴り合いなんてしたのかしら。時間と体力の無駄よ」
「それでいいんだよ、乃亜ちゃん。お互いに納得する為には、こういう事があったって」
「ふぅん。あなたは随分と結城昴の事を信じているようね。年下が好きなのかしら?」