東京ヴァルハラ異聞録
久慈さんが笑って見せると、朝倉は少し安心したようで。


俺からしてみれば、こんな短時間でこれほどの軍勢を集める事が出来るというだけでも凄いと思うんだけどな。


『久慈さん!昴くん!もうすぐ来ます!御田さんが……オーディンが来ます!』


下にいる月影から連絡が入った。


開始の合図は、御田さんの一撃になりそうだな。


それよりも問題は突入する部隊だけど……。


「結城、バベルの塔への突入は、行けそうなやつを回す。中で何が待ち受けていようと、切り抜けられるやつをな」


秋本にそう言われたと言うことは……秋本が来るわけではないのか?


いや、その可能性と言うだけで、来ない可能性がないと言うわけじゃないか。


「東軍はもちろん私が行く。いや、私が行かなければならないのだ」


「秋本さん……恵梨香さん。わかりました、よろしくお願いします!」


恵梨香さんが来てくれるのは心強い。


高山真治との関係が一番深いのは恵梨香さんだろうからな。


「南軍からは回せるかどうかわからないけど、出来るだけ行かせるわ。もう、南軍に守るものはないのだから」


壊滅状態の南軍でさえ、ここまで協力してくれる。


この機を逃せば、もう二度とこの先、バベルの塔に突入する機会は訪れないだろうと、感覚でわかった。
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