東京ルミナスピラー
「蘭子ちゃんは大丈夫? もしかすると、西軍に行ったら宗司と戦うことになるかもしれないけど」


吹雪さんの言葉を聞いて心配になったのだろう。


蘭子がもしも浅草橋駅に残っていたら、今の状況にはなっていなかったかもしれない。


今頃決着していたかもしれないのに、その蘭子は俺達と一緒にいるのだから。


「大丈夫。蘭子は進める。友達が傍にいてくれるから」


そう言うと、そっと俺と夕蘭の手を握った。


怖いのか、それとも武者震いかはわからないけど、蘭子の手が震えているのがわかる。


14歳の女の子が、好きな人と戦う覚悟をしなければならないなんて……悲しいな。


「宗司に恨みはないけどさ、会ったら一発ぶん殴ってやるよ。こんな可愛い女の子を一人置き去りにした罰だってさ」


俺がそう言うと、蘭子は恥ずかしそうに俯いて。


「可愛い女の子……葵も蘭子が好きなのか。困った」


「何言ってんだよ蘭子は。とにかく、西軍に行ったらまずタケさんと話をする。夕蘭もいるし、話しやすいのはタケさんだろうからな」


双方の話を聞かなければ、この戦争を始めた理由がわからない。


まずは対話することが大切だ。
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