東京ルミナスピラー
確かに武器レベルは上がっていた。


そして「疾風」のスキルを獲得したけど、それだけでこんなに変わるものなのか!?


「や、やるじゃねぇかよピヨ! 俺も負けてられねぇぜ!」


俺の姿に触発されたのか、杉村もロングソードを取り出して敵に切り込んで行く。


でも、良かったのは最初だけだった。


数人切り伏せて、調子よく思えたけれど。


ここは北軍で、入り口とは言え敵地。


一緒に侵攻して来た人達はもうやられたのか、それとも別の道に入ったのか、この周辺で戦っているのは俺達だけになっていたのだ。


「シット! こんなに早く取り囲まれるなんてよ! ピヨ! 死ぬ気で切り抜けるぞ! ブザーも死にたくなかったら少しは役に立ちやがれ!」


杉村の言葉にも焦りの色が見え始める。


ジリジリと距離を詰め、俺達に迫る北軍の人達。


その目は、同じ人間を見る目じゃない。


まるで獲物を目の前にした獣とでも言うべきか。


純然たる殺意が、俺達を突き刺すように向けられていた。


いきなり大ピンチだ。


この場を切り抜けるような方法は、今の俺達にないことは明白。


だからこそ、杉村も具体的な作戦ではなく、根性論を口にしていたのだ。
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