東京ルミナスピラー
「魔法もこの人数相手じゃ無理だよぉ! どうしよう!」


何となくだけど、ひなたさんの魔法は一定距離を保った状態でなければ、一瞬で詰め寄られて殺されるように思える。


つまり、この距離では一人や二人倒すことは出来ても、根本的な解決にはなっていないわけだ。


「ふはははっ! 西軍の雑兵が、ここを抜けられると思うなよ!」


絶体絶命の中で、さらに大柄の男が一人。


髭を生やしたハゲの三白眼の老人が、金棒を担いで俺達の前に現れたのだ。


「田中さんだ!」


「やべえ、田中さんが来ちまったぞ!」


「こりゃあ、田中さんに全部持っていかれるぜ」


俺達を取り囲んでいる人達が、老人を見て口々にそう言い始めた。


「なんか、とんでもないやつが来ちゃった感じですか。この田中ってやつ」


「俺が知るか! 何にしても、こいつらをどうにかしないとダメなわけだろ! だったら死ぬ気で……」


絶体絶命の中で、さらに絶望へと突き落とすかのような田中の登場に、半ばヤケクソになっていた杉村。


だけど、そんな杉村と俺の間を通って……田中の前に歩み寄ったのは、タケさんだった。


「お、おいおいおい! 初心者が勝てる相手じゃねぇ! 俺達に任せて下がってろ!」
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