東京ルミナスピラー
悔しいけど、今の言葉が何となくわかった気がした。


この街に来るまでは、俺はハッキリとした目標なんて持ってなくて漠然と毎日を生きていた。


目標を持って生きろ……と言われても、大きな目標を持つと「現実を見ろ」と諌められる。


そんな世界で人から認められる何かになるには、まず人に認められる存在になってから目標を持たなければならない。


自分がやりたいことをやるには、まずは人に認められる「何か」にならなければ話にもならないという矛盾した世の中なのだと俺は感じる。


もちろん、一部の天才はいるし、そういうやつらは放っておいても頭角を現す。


そしてその天才と比べられて「お前はダメだ」と烙印を押されてしまうのだ。


だけど……舞美さんは違う!


「俺を殺しても、誰からも認められやしないでしょう! あなたはそうやって、自分にとって都合の悪いものを排除しようとしてるだけですよ!」


「それの何が悪い! 邪魔者がいなくなれば、皆が私を評価する! そうなれば、私は『何か』になれるんだ!」


「比べる相手がいなくなった世界で、あんたは一体、誰の何になれるって言うんだ! 少なくとも俺にとっては舞美さんは大切な仲間だった! それじゃあダメだったのかよ!」
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