東京ルミナスピラー
重力の牢獄に囚われている舞美さんを引き剥がそうと、もう一度切断を試みる。


だが、またもや触手のようなものが伸びて、元に戻ろうとうごめき始めた。


「これならどうだ!」


再生させてたまるかと、舞美さんの身体を何度も切り刻んでみるけど、断面から触手が伸びて、瞬時に元通りになってしまう。


切り離されている間は化け物の方は動きを止めるものの、これでは勝てる気がしない。


「ぷはっ! このクソガキが! 何度も何度も切り刻みやがって! 無駄ってのがわからないのか! お前じゃ私は殺せないんだよ!」


確かにこのままじゃ埒が明かない。


再生出来ないくらいに切り刻んでも再生してしまうし、化け物の身体の方はダメージが通らないから手の打ちようがない。


「舞美さんの言う通り、殺せそうにないですね。残念ながら」


「そう思うならさっさと殺されろ! 腐れ童貞が!」


身も心も化け物になってしまったのか、俺を睨み付ける顔が醜悪で、とてもあの美人だった舞美さんとは思えない。


性格は外見に現れるというけど……正にこのことか。


『うわぁ、醜いもんだね。こんな化け物に改造されなくて良かったぁ。僕は可愛いでしょ? ね? 葵くん?』
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