東京ルミナスピラー
視界が広がる。


真っ白だった部屋が、パッとビルに囲まれた外の世界に変わって。


今度は上空ではなく、ピンポイントで俺が移動させられた場所に……化け物の身体の上に美空ちゃんと一緒に立っていたのだ。


「おい葵! いきなり消えたと思ったらお前どこに……って、誰だよその子は!」


頭上から降り注いだ拓真の声に、驚いて線路の方を見上げてみると、皆不思議そうに俺を見ていた。


「俺じゃあこいつを殺すことは出来ませんでした。でも、二度と動き出すことはありません。でもいつか……朽ちるんじゃないですかね」


今でも再生をしようと触手を伸ばしている化け物の身体は、もう生命エネルギーを供給する事が出来なくなっている。


光の粒に変わってくれれば処理が楽なのに、このサイズの身体が腐っていくと考えるといい気はしないな。


「何にせよ、もう動くことがねぇなら万々歳じゃねぇか。結城に勝っただけはあるな。まさかこんな化け物までやっちまうとは」


伊良さんが唸るように俺を褒めてくれているけど、そんな大したものじゃない。


美空ちゃんがいなければ、俺はきっと勝ててはいなかっただろう。


それくらい、手も足も出ない化け物だった。
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