東京ルミナスピラー
どうやら東軍からの第一波の侵攻も落ち着いたようで、ほんの僅かな間、一息つける時間が訪れた。


東軍の動向を探っていた吹雪さんから、鬼の波は途切れたけれど、依然両国以東に大軍勢が待機していて、いつそれらが動き出すかわからないということらしい。


「で? 葵の腕にしがみついてるその中学生は誰なわけ? 蘭子ちゃんといいその子といい、年下に好かれるみたいだね葵は」


線路の上で休憩を取ろうとしていた俺に、夕蘭が訝しそうな表情を向けて尋ねる。


「あ、ああ……この子は美空ちゃんで……」


「助けたお礼に、僕と清く正しく美しい肉体だけの関係になるって約束したんだよね! 嫌とは言わさないよ?」


説明が上手く出来ないところに、美空ちゃんがさらに勘違いをさせるような説明を始める。


……いや、勘違いではないのか。


あの時はああでも言わなきゃ、舞美さんを閉じ込めることが出来そうになかったし、仕方がないとはいえとんでもない約束をしてしまったもんだ。


「え、ちょ、ちょっと待って!? 葵は灯ちゃんやお姉さんを助ける為にバベルの塔に登ろうとしてるんだよね? 結婚式までしたのに……どういうこと?」
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