東京ルミナスピラー
「へへ……ヘイヘイ。人が悪いじゃねぇか。そんな強いやつが俺達に同行だと? 一体何の気まぐれだよそりゃあ」


杉村の毒に、いつものようなキレがない。


そりゃあそうか。


そんなに強い人が、まさか俺達と一緒に行動していたなんて思わなかっただろうから。


「……気まぐれに理由なんていらねぇだろ? 俺はキングを探したいだけだからよ。一人よりはお前らといる方がいいかと思っただけだ」


だけどタケさんのおかげで、北軍の人間が完全にビビっている。


この窮地を脱するのは今しかない!


と、日本刀を握り締めた時だった。








ゾクッと、背中に氷のつららでも突き刺さったかのような激しい悪寒がして、俺は指一本動かすことが出来なくなってしまったのだ。


そしてそれは俺だけではなく、杉村も宗司も、ひなたさんも同じようで、顔が引きつっているのがわかった。





「やれやれ……誰かと思ったら、まさか篠田が攻めてくるなんてね。こりゃあ……事と次第によっては殺し合いになっちゃうねぇ」




俺達の正面に立っている男。


タバコを口にくわえて、槍を肩に担いでいる男を……俺は知っている。


いや、知らないはずがなかった。
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