東京ルミナスピラー
「僕は楽しければ何だって良いの! 東軍で、侵攻してくるイケメンを物色してエッチを楽しむのも良いんだけどさ、可愛い可愛いチェリーボーイを見付けちゃったからね」


満面の笑みで俺を見る美空ちゃんに、俺は苦笑いを返す。


その様子を見て、大塚さんも嬉しそうに俺に笑顔を向けた。


「そうですか。葵くんが。昴くんもそうでしたが、人を惹き付ける何かがあるのでしょう。今、ここにいる人は皆、葵くんを中心に集まった人達ではありませんか? キミが歩んで来た道が、皆の道を一つにしたんだと、私は思います」


なんか、大袈裟なことを言われているような気がするけど、そんな良い物じゃないよ。


俺は父さんと姉さんを家に帰らせたくて、必死にこの街で出来ることを探していただけだ。


それが偶然色んな人と出会って、ここまで流されるようにやって来れた……というのが本当のところだ。


「もう! マスターが何言ってんのか僕にはわかんない! 休憩だったら一旦解散だよね? じゃあ葵くん、行こ行こ。僕の頼みを聞いてくれるんでしょ?」


夕蘭の胸から手を離し、俺の腕を掴んで歩き出した美空ちゃん。


「お、おい。大丈夫かよ。あの子に連れて行かれたぞ?」


「大丈夫ですよ。安藤さんは確かに強いですが、葵くんはもっと強い。命の危険はないでしょう」


「いや……そうじゃなくってよ。貞操の危機はあるんじゃねぇか?」


などと、大塚さんと伊良がそんなことを話しているなんて知る由もなかった。
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