東京ルミナスピラー
すぐにはその言葉の意味が理解出来なかった。


だけど、美空ちゃんは難病で入院していたということを思い出して、何となく察したような気がする。


「僕が入院してた話はしたよね? 元に戻るってことは僕はまた入院するってことで、友達もいない、家族も面会に来ない日々に逆戻りするってことなんだよ。だから、友達になって、僕が生きている姿を見てほしい。応援してくれる誰かがいたら、僕はそれだけで明日を待ち望めると思うから」


俺は……美空ちゃんを勘違いしていたかもしれない。


自由奔放で、性にも開放的で誰とでもセックスをする。


敵であろうと味方であろうと、それこそ関係なくだ。


だけどそれは、病気で身動きが取れずに人生を悔やんでいたからこそで、悔いがないように必死に生きようとしていただけなんだ。


いつか覚める夢だとわかっているから、今を楽しんでいる。


「わかった。俺みたいなガキで良ければ友達になるよ。美空ちゃんが一人じゃないって思えるなら」


「もう。そういうところだけは妙に男前なんだから。難しいもんだね。葵くんがガツガツしてないから僕は楽しめないけど、もしもそうなら僕は葵くんに興味を持ってなかっただろうし」


少し複雑な心境だけど、これで良かったんだと思うしかない。


もしも美空ちゃんとセックスすることになっていたら、それはそれで後悔しそうだったから。
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