東京ルミナスピラー
「と、父さん……」


俺がそう呟くと、父さんは驚いた様子で目を見開いて、口にくわえていたタバコが地面に落下した。


「あ、葵……まさか。どうしてお前が」


俺にそう言った後、宗司を見付けたのだろう。


額に手を当て、首を横に振って溜め息をついた。


「何? 父さんって、少年は名鳥の息子なわけ? その割に苗字が違ったような」


タケさんは何も感じないのか、平然と俺の方を向いて尋ねた。


「養子なんです。母さんが死ぬ間際に今の父さんに……」


「そうかよ。でも悪いな。名鳥が現れたってことは、手は抜いてやれねぇ」


今までポケットに入れていた左手を出して、両手に装着したメリケンサックをガンガンと打ち合わせたタケさん。


「流石は拳帝……まさか老人同士で戦うことになるなんてね。これも……あいつが仕組んだことか」


そんなタケさんと向かい合って、槍を構えた父さん。


北軍の人間に顎で指図をすると、俺達を取り囲んでいた人達は光の壁へと走って行ったのだ。


「な、なんだよこりゃあ。どうなってやがる」


状況を飲み込めないようで、杉村はどうすればいいかわからない様子。


「お前ら、少し離れてろ。巻き添えを食らっても知らねぇぞ」


タケさんにそう言われて、俺達は道の脇に寄るしかなかった。
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