東京ルミナスピラー
電車から降りた人達が、次々と南北に広がって移動して行く。


中央を行く俺達は、一体どうやって津堂達の動向を探るつもりだろうか。


『ほう、こりゃあ便利なもんやの。どういう理屈かわからんが、軍籍が違っても会話できるのはPBS以上や。ありがたく利用させてもらおか。じゃあマスター。頼むで、感度ビンビンで探ってくれるか?』


大和さんの言葉に、松坂さんがピクリと反応するけど、さっきの心の声から何を考えているか大体想像がついてしまったよ。


『ひ、ひえええ。お恥ずかしい。こんな中年の親父が安藤さんのような見目麗しい若いレディに対して妙な妄想を抱いてしまうなんて! い、いや、そんなことを言っている場合ではありませんね。お任せください大和さん。しっかりと感知させて頂きます』


心の中で話すことが便利なのか、近くにいるのに大塚さんがペコリと頭を下げてそう言った。


「感知? 確かに大塚さんも密偵ですけど、吹雪さんや千桜さんみたいな特殊なスキルがあるんですか?」


俺が声を出して尋ねると、大和さんは力強く頷いて。


「せや。大塚さんはなんちゅうか……ぼんやりと力を察知する能力に長けとるみたいや。せやから東軍を脱走して、南軍におる結城さんがいる所にピンポイントで行けたみたいやな」


なるほど、ぼんやりとでも力を察知出来るなら、もしかすると津堂と煌我の居場所がわかるかもしれないってことか。
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