東京ルミナスピラー
「う、うわわっ! 悪い! こっちじゃなかった!」


「もうやだぁ! 男子達さいてぇ!」


現場は軽くパニック状態だ。


父さんは慌てて照明を切ろうと、色んなスイッチを押すけど、慌てているせいか色んな場所の照明が点いたり消えたり。


宗司は恥ずかしそうにチラチラ横目で見てるし、タケさんに至ってはまるで興味がなさそうにしている。


そんな中で、カーテンによって遮られた隣のベッドの方から声が聞こえた。







「……誰? お父さん? 他にも誰か、お客さんがいるの?」








この声、聞き間違えるはずがない。


「ね、姉さん……」


「え? その声……あ、葵?」


やっと……やっと姉さんに会えた。


姉さんを探してこの街に入った父さん。


そして、二人を連れ戻すために、俺達三人はこの街にやって来たんだ。


「うっひょー! 光ちゃん! 俺もいるぜ俺も!」


「宗司くんも? じゃあ、もしかして灯も?」


「ああ、ここにはいないけど、一緒にこの街に……」


と、宗司がそこまで言った時だった。


まだ慌てている父さんが押したスイッチ。


それが、部屋の隅の照明を点けて。


カーテンに、姉さんの姿が投影されたのだ。


だけどそれは、俺が知っている姉さんの像とは違っていた。
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