東京ルミナスピラー
「この街では、似たようなことは沢山起こってる。中には親兄弟、親友同士で殺し合いをしなきゃならなくなった人や、ソウルウェポンに選ばれずに鬼になった人もいる。光だけじゃないんだ……光だけじゃない。それはわかってるけど……この子だけは助けたい。それが俺の望みなんだよ」


いつも飄々(ひょうひょう)として、お気楽なことばかり言っていた父さんが、こんなに泣いている姿は見たことがない。


俺は……悲しいはずなのに、姉さんの姿がすぐには受け入れなれなくて、心のどこかでまだ、鬼化していない姉さんがどこかにいるんじゃないかって思っているのかな。


「その強さは娘を……大切な人を守る為の強さってわけかよ。わかるぜ名鳥。痛いほどわかる。けどよ、その強さじゃ先には進めないんだぜ。そして最後には後悔するんだ。人に託すしかないくらいに追い詰められてからな」


「篠田、それは体験談かい? 自分がそうだったからって、俺もそうなるなんて思わないでほしいね。俺は……お前とは違う」


父さんの言葉で、タケさんの眉毛がピクリと動く。


敵同士だとは言え、下手すれば一触即発の危機だ。


俺なんかじゃ、この化け物二人を止められる気がしない。
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