東京ルミナスピラー
是松だって、あの美しい顔はあいつが願った物で、化け物への変化も「もう二度と誰にも蹂躙されたくない」という思いの現れだったのかもしれない。


「そんな……まさか灯は……」


「いつも一緒にいるお前が強くなり、あの娘もより強い力を求めた。それがあの醜い化け物の姿だ。つまり、お前のせいだよ」


考えないようにしていた、考えたくはなかった。


津堂と話せば話すほど、言い様のない不安が胸の奥で生まれて来るようで。


そのよくわからない感情はきっとこれを警戒していたのだろう。


「お、おい! 葵! まだかよ! 早く津堂をぶっ殺してこっちを手伝え! これ以上は耐えきれねぇ!」


「ぐるるるるるああぁっ! お前らを殺したら津堂を殺してやる! 許さねぇ! 俺まで実験体にしていたお前を許せるはずがねぇっ!」


呆然とする俺の耳に、宗司と煌我の声が聞こえる。


ほわんほわんと、歪んでいるように聞こえるその声が頭に入って来ないほどに、津堂の言葉が俺を支配していた。


「どうだ? 散々俺のせいにして敵意を向けて来たのに、それが自分のせいだと知った気分は。熟成された怒りを、向ける相手が違うと知った時、人は必ず戸惑う。しかもそれを向ける相手が自分自身だった場合、戸惑うどころでは済まなくなる」
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