東京ルミナスピラー
「ま、待て。俺を殺せ。斬られた腕の回復は始まっているが、痛みがずっと継続している。このバグはPBTの破壊による一時的なものだと思う。頼む……殺してくれ」


随分都合のいいことを言う。


お前に助けを求めた人もいただろうに、その人達を助けたのかよ!


「お前は! 自分の都合ばかり! 痛みに耐える覚悟もないのに、人には苦痛を強要してきたんだ! ふざけるなよ!」


「頼む! 痛くて気が狂いそうだ! もう二度とお前達の邪魔はしないと約束する! お願いだ! 痛みが身体中を駆け巡ってるんだよ!」


この作戦は、津堂と煌我を捕らえて、これ以上人体改造という悲劇を生まないようにするのが目的だ。


煌我は首だけになり、津堂はPBTの暴走で回復途中でフリーズ状態。


これまでのことを考えると、津堂の頼みを聞いてやる必要なんてないけど……これを無視すれば津堂と変わらないかもしれない。


「……大和さん。すみません。津堂を捕らえることは出来ません」


俺がそう言うと、大和さんはため息をついて。


「そうか。仕方ないな。まあ、それが葵くんや。ワシは何も言えん。好きにしたらええ」


そう言われて、俺は津堂の首に日本刀を滑らせた。
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