東京ルミナスピラー
〜少し前・学校外周~


「ギャオオオオオオオオッ! グルルルルルルァァっ!」


今にもグラビティプリズンを脱出してしまいそうなフェンリルが、突然激しく暴れ始めた。


「おいっ! まだかよ! もう持たねぇよ!」


伊良の声に、名鳥はタバコを足元に落として踏み付けた。


「やれやれ、後ちょっとだってのに」


名鳥が見上げた空には、高速で回転する炎の塊が浮かんでいた。


まるでドリルのような円錐型の巨大な炎の槍が。


「希澄ちゃん! イメージ出来てるね!? どんなものも貫く、無敵の槍のイメージだよ!」


「大丈夫……それより美空ちゃん、これどうやってあの狼にぶつけるの!? 巨大な槍と言っても、重さなんてないんだよ!?」


「あ! わ、忘れてた! どうしよう! 超能力で動かすって言っても、別々の力を同時に使うと精度が落ちちゃうし……今からイメージを追加するには時間も掛かるし……」


希澄にぶつけられた疑問に、頭を抱える美空。


フェンリルを貫けるだけの威力を持つ槍を作ることに必死で、どうやって直撃させるかまでを考えていなかったようだ。


「じょ、冗談だろ!? だったらあれはただのオブジェってことかい!? まさかフェンリルに当たってもらうわけにはいかないだろうし……」


最後の最後でミスが発覚し、名鳥が顔をしかめていると、そこに秋本がやって来た。
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