東京ルミナスピラー
「吹雪ちゃんの言いたいことはわかるよ。年寄りの悩みなんてさ、若いやつがあっさり吹っ飛ばしてくれるんだよね。今までもそうだったから、わかるよ」


「ああ。そうなりゃ、老体に鞭打つ必要なんてなくなるのによ」


父さんもタケさんも、何かを思い出しているようにシミジミと呟いた。


「何言ってんのさ二人とも。ここにいるでしょ。若くて青臭くて真っ直ぐな少年がさ」


ニヤニヤと笑いながら、吹雪さんが俺と宗司を指さす。


その指の先を追うように、父さんとタケさんが俺達を見るけど……全く同じタイミングで首を傾げた。


「いやいや、吹雪ちゃん。若けりゃ良いってもんでもないでしょ。俺からしたら、まだまだオムツの取れないガキンチョだよ?」


「はいはい、年寄りは若者を認めないよね。前を走ってるつもりでも、いつの間にか抜かされて行くもんだよ。若いってだけでその可能性があるのがわからないかね?」


呆れた様子でそう言った吹雪さんの言葉で、父さんは苦虫を噛み潰したような顔になる。


「ま、もしも本当にこいつらがそれほどのやつなら、放っておいても勝手に出てくるだろ。俺達ロートルが道筋を立ててやればな」


そう言って膝を叩いたタケさんは立ち上がって、大きく伸びをした。
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