東京ルミナスピラー
鬼の腕力で身体を引きちぎられても、回復が停滞しているから、引きちぎれる激痛だけが襲う。


そして噛み付かれても、肉が身体から離れないから鬼達は何度も何度も噛み付いて肉を食おうとする。


永遠の地獄がそこにはあった。


出血も回復により抑えられ、出血多量で死ぬことも出来ない。


痛みを感じたままで、肉体は保たれる。


鬼達がどれほど津堂を食おうとしても食えないのだ。


「これが因果応報ってやつなのかな。あの鬼だってきっと、津堂が実験の為に集めた鬼なんでしょ? それが今の地震で逃げ出して……」


「哀れなもんだな。だけどこのまま放置するのも気分が良くない。仕方ないから助けよう」


いくら命を弄んだやつだからと言っても、俺達まで同じレベルに落ちることはない。


津堂に群がる鬼に駆け寄り、全員を斬り捨ててグラウンドに仰向けになる津堂に目を向けると……。


あまりの痛みのせいか、既に正気を失っているようで、身体がビクンビクンと痙攣し続けて言葉も発することはなかった。


死ぬよりも、囚われるよりも苦しい地獄に落ちた津堂を一瞥し、俺は空を見上げた。


灯は……こんな結末を望んでいたのかなと、ふと考えながら。
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