東京ルミナスピラー
だけど、その理由はそれが地面に着地するまでに理解した。


女性の死体が一向に光の粒に変わらない。


「まさか……ソウルストーンがないのか!?」


そうとしか考えられない。


地面に着地し、数歩走って素早く振り返る。


千切られた身体を掴んで空を飛ぶ鬼達。


その死体からは内臓が落下して、見るも無残な光景に変わっていた。


「うへぇ……なんて光景だ。こんなのまるで地獄じゃねぇかよ!」


「宗司! その女の人を頼む!」


女性の死体を掴んだ鬼達は、器用に脚を曲げて死体を口に運び、その肉を噛みちぎっている。


三匹のうち二匹は、俺に見向きもせずに自動車の上に死体を置いて、食べる事に夢中のようだったが、俺が攻撃した鬼だけは違った。


恨めしそうな目を俺に向けて、威嚇するように牙を剥いて俺に吠えたのだ。


「お前らも元は人間だったんじゃないのか!? 鬼になると、人間らしささえも失ってしまうのかよ!」


姉さんの姿がチラつく。


でも、こいつらは姉さんとは違う。


人間を殺してその肉を食らう、ただの食人鬼なのだから。


猛禽のような身体に、人間の頭。


ファンタジー物に出てくるような、ハーピーという化け物に近い姿かもしれない。


ただ違うのは、自身が鬼であることを強調しているかのような鋭い角があることだった。
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