東京ルミナスピラー
空高く舞い上がり、一気に俺を仕留めるつもりなのか、急降下しながらその鋭い爪を俺に向けて迫る!


スウッと呼吸を一つ。


腰を落とし、脚に力を込めて飛び上がった俺は、迫り来る鬼に向けて日本刀を振り下ろした。


爪が俺の肩をかすめる。


だがそれは、攻撃と呼べるものではなかった。


俺の一撃で既に真っ二つに切り裂かれていた鬼の亡骸の、単なる自由落下に過ぎなかったのだ。


これには、何を隠そう俺自身が一番驚いていた。


武器のレベルを上げたとはいえ、これほどまでに容易に鬼を仕留めることが出来るなんて。


「うひょーっ! やるじゃねぇか葵! かっこつけやがって!」


地面に着地し、振り返って鬼の死体を見てみると、なるほど光の粒には変わらない。


その代わりに、黒いモヤのような物に変化して、その場を黒く染めた。


地面に着地し、残りの鬼を睨み付けると、一匹殺されたのが気に触ったのか、食べかけの肉から口を離して俺に視線を向けていた。


「ギャーーーース!」


「グギャーーーーーッ!」


その咆哮はもはや獣のようで、攻撃態勢に入ったのがわかった。


自動車の屋根を蹴って飛び上がった二匹の鬼。


俺に向かって急降下してくるかと構えていたけど……急降下したその爪は、宗司に任せた女性を襲うように突然向きを変えたのだ。
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